清掃はどんな時も危険に囲まれています。清掃業務中に発生する災害・事故で一番多いのは「転倒」です。水や洗剤をいかなるシーンでも使用する清掃は転倒のリスクが極めて高いと言えます。また高所での作業や階段など足元の安全確保が難しい場所での作業もあります。
<日常清掃で起こりうる転倒のリスク>
日常清掃では様々な作業をおこないます。洗面台やトイレ、廊下など清掃する場所に合わせた清掃用具が必要です。もちろん清掃スタッフ内で担当が決められて、ある程度の作業分担が可能ですがやはり扱う清掃用具が多めになってしまう傾向にあります。そうなるとつい移動時に両手がふさがってしまい、階段などの段差が普段よりも危険なポイントになってしまいます。また昨今の人手不足の影響もあり、現場の応援として別現場の不慣れなスタッフが業務を行うことが多く見られます。それによりその現場に潜む小さな段差や死角など、その現場のスタッフなら注意する危険を見落として躓いてしまうケースが起こり得ます。応援できたスタッフは不慣れなことから作業時間が押し、焦りから移動時に走ってしまい予期せぬ事故に繋がります。
<定期清掃で起こりうる転倒のリスク>
専門性の高い技術が要求される定期清掃にも同様な転倒のリスクがあります。特に塩化ビニル床や長尺床などワックスを塗布することが多い床面の洗浄・剥離作業時とワックスの塗布作業時が挙げられます。ワックス床の洗浄には専用のアルカリ性床洗剤を使用しますが、洗剤がワックスと反応しポリッシャーで擦り溶かすことで表面の汚れを除去しています。水も洗剤も多量に使う作業になるので転倒しやすい状態になってしまいます。また床ワックス全てを更新する剥離洗浄の際は、より強力な洗剤を使いワックスを融解させます。この剥離専用洗剤自体もとてもよく滑りますが、ワックスと反応した汚水が危険なほど滑ります。またワックスを塗布する際も、乾燥していないワックスは滑りやすく危険を伴います。さらに塗布して引き延ばされたワックスは透明になるため、どこが乾いているかいないかを見た目で判断するのが難しく、乾いているのかと思って踏み込んだら塗りたてで転倒してしまうといったケースが発生します。
多くのリスクが潜んでいる清掃現場であるからこそ、危険を意識した行動が必要です。「作業中忘れ物に気付き取りに行く」「モップが汚れてきたので一度洗いに行く」「あともう少しで手が届く汚れに挑戦する」などいつもとは異なった状況や行動により潜むリスクが災害と事故に繋がってしまいます。烏山ではいつも行っていない作業だからこそ、いつもとは異なる現場だからこそ慎重になれるよう余裕のある作業手順やスケジュールを作成しています。低所・中所・高所と作業を分類し、それぞれの作業に潜む危険を社内や現場ミーティングにより共有しつつ、新たに気付いた危機を出し合うことで危険個所をブラッシュアップしています。そして清掃スタッフだけでなく、建物を利用する方々や道行く人にも危険を意識してもらう為、清掃中であることをアピールする工夫した表示を心がけております。
このような工夫を凝らすことで、時にはお見積料金が高くなってしまうこともあり得ます。しかし烏山では「利益追求のために人命のリスクを軽視してはならない」「高品質は安全の上に成り立つ」と心得ています。安全で確かな品質をお客様にお届けするために烏山は考え追い続けます。
カーペットの洗浄方法を検討する際にポイントとなるのが乾燥時間です。カーペットの種類や季節により様々ですが洗浄した後完全に乾燥するまでに24時間程かかります。濡れたカーペットはとても滑りやすいだけでなく、人の靴底ついた外部の汚れがカーペットに再付着してしまう恐れもあります。オフィスビルの専用部などでは、お客様が希望する作業時間内である程度乾燥させる必要があり、指定された作業時間が短い場合は大量の水を使用しない洗浄方式が有効になります。少量の水で洗浄できるボネット方式や水を使用しないパウダー方式はまさに短時間での作業が可能です。
しかしボンネット方式やパウダー方式等は、洗浄力は強くないというデメリットもあります。長年メンテナンスされていなかったカーペットや飲食による油汚れなどがある場合には、水と洗剤を使用したウエット方式の方が効果的と言えます。短期的かつ定期的なメンテナンス(2か月に1回など)で、作業時間を短くという制約がある場合はボンネット方式やパウダー方式がお勧めです。
先日私たちが所有する烏山お茶の水ビルでもボンネット方式でカーペットを洗浄しました。最初にアップライトバキュームを使用して、パイルに絡みついたゴミや毛髪をかきだします。その後に希釈した専用洗剤(前処理剤)を噴霧して、ヤーンパッドと呼ばれるカーペット専用パッドを装着したポリッシャーで拭き上げます。水を多く使用するウエット方式に比べ短時間での作業が可能なのでコストも抑えることができます。また短期的かつ定期的なメンテナンスは美観の維持に大変効果があります。重度の汚れがある場合はウエット方式を用いた洗浄を特別清掃として単発実施し、その後にボンネット方式やパウダー方式で定期メンテナンスすると言ったプランも効果的です。
街中の建物外壁や塀に苔や雨だれ、カビによる黒ずみが発生しているのをよく見かけます。またコンクリートの床などにも同様の汚れが付着したりします。壁面でも床面でも屋外に面している所については雨風によって確実に見た目が悪くなってしまいます。それ故に人目につきやすく、「なんだか暗い」「古そう」というネガティブな印象に取られてしまいます。
そんな時に強い味方になってくれるのが高圧洗浄です。凹凸がある面でも効果があり、デザイン重視の外壁にも力を発揮してくれます。まるで消しゴムで消しているかの如く綺麗に汚れが除去できるので作業する側も見ている側も楽しい気分になります。重度の汚れの場合には洗剤を用いるケースがありますが、基本的には洗剤使用しないのでコスト的にも環境的にも優しい洗浄方法と言えます。
しかし高圧故に材質によっては削ってしまい表面を痛めてしまう恐れがあるので注意が必要です。烏山では現地調査の際、建物の築年数や建物の周辺環境、建材の劣化具合をお伺いし、高圧洗浄をするか否かのご提案をいたします。また高圧洗浄作業は跳ね返る水滴が多く発生するため、作業の準備には周囲の養生や物の移動が伴うこともあります。
<画像①>
経年による汚れがひどいため希釈した洗剤を噴霧している写真です。高圧洗浄機で洗浄する前に行うことでより洗浄力を高めることができます。
<画像②>
塀の築年数も古い為、高圧洗浄機のノズルを近づけすぎると強い圧力により建材をえぐってしまう危険があります。ある程度ノズルを離しつつ、洗浄ムラが発生しないよう焦らず丁寧に作業しました。
<画像③>
左側:高圧洗浄機を使用した後
右側:洗浄する前
一目で汚れが落ちていることが確認できます。
烏山では社員や清掃スタッフが専門性の高い知識スキルの取得にチャレンジできるように、資格取得における支援制度を設けています。本人の「この資格を取得したい」「チャレンジしてみたい」という自己啓発的な挑戦意識を、烏山がバックアップとして事前学習費用や受験費用など資格取得にかかる費用の一部を補助しています。資格のジャンルは多岐にわたり、不動産ビジネス関係からビルメンテナンス関係、労務人事関係などが対象です。私もこの制度を利用し、以前から挑戦してみたいと考えていた国家資格「建築物環境衛生管理技術者」の取得を目指すことを決めました。私はこれまで清掃業務が主な担当でしたが、ビルメンテナンス業界を全体知ることができるこの資格を取得し、仕事に対する自分のステップアップをしたいと思いました。また受験資格に実務経験が必要なこの資格を取得することで、ビルメン業界で働いてきた実績を国家資格で裏付けることができます。
建築物環境衛生管理技術者とは建築物における衛生的環境を確保するために、業務計画立案や建物所有者への助言等を行う者をいい、一定規模以上の建築物に建築物環境衛生管理技術者を1名選任することが義務付けられています。この資格を受験するには実務経験2年間必要で、毎年行われる試験に合格するか、もしくは専門講習を101時間受講することで免状を取得することができます。私は試験で挑戦したいと考えていました。試験範囲は広く、建物を取り巻く様々な設備機器、建築関係、人体に起きる疾病や変化、害虫駆除に至るまで6科目計180問出題され、試験時間は6時間に及びます。合格基準は全体で65%以上正解かつ各科目40%以上正解とされています。1科目でも40%を下回っていた場合たとえ全体で65%正解していても不合格となります。科目ごとの合格制度は無く、合格ラインぎりぎりであったとしても不合格の場合は翌年また全科目に挑戦することになります。とてもボリュームがあり時間をかけた継続的な勉強が必要ですが、出題される傾向はおおよそ予測することができ、いわゆる「暗記問題」が多いと言われています。私自身、試験勉強し始めた当時から「暗記問題だから過去問題をひたすら覚えれば良いだろう」と闇雲に過去問題集だけを解いていました。
しかし、問題と答えを"ただの文字"として記憶する勉強方法はとても苦痛で、1か月と持ちませんでした。私は元々勉強することが得意ではありませんでしたが、空調設備用語や建築用語など専門用語が多すぎることと科目の出題パターンが毎年少し変化しており全てを丸暗記することは非効率でした。やはり参考書などで仕組みや役割など基礎知識と概念を理解した上で問題に取り組む方が効率的でした。1日1時間~2時間の勉強時間でしたが2月に取り掛かったため9月頃には全科目を一通り理解することができ、後は知識と記憶の定着化と応用力を付けるため過去問題にひたすら取り組みました。
当日の試験では過去に問題で扱われていなかった用語などが出題され焦りましたが、難問であったのは一部で他の問題は基本を理解していれば正解できるものが多かった印象です。会場では開始1時間で退出可能になり席を立つ方が多く見られましたが、試験時間6時間をフルに使い、自信ある解答の再確認や飛ばした問題の再チャレンジ、マークミスのチェックなどを繰り返し行いました。試験終了の一か月後の11月に合格発表され、合格したことを知りました。何よりも1年近く日々コツコツ勉強を積み重ねること、勉強時間を捻出することがとても苦労しました。しかし試験に合格して免状を取得したことで自分に大きな自信が付きました。会社からのバックアップもあり国家資格にチャレンジしやすい環境だからこそ意欲的になれたと思います。今回取得した免状でより責任のある仕事を目指すだけでなく、この試験勉強で得た何事も続ける大切さと専門知識を活用して日々の業務に励んで参ります。
近年、オフィスビルだけでなくマンション共用部にも多く採用されるようになったカーペット。空間の高級感を演出でき、事務所などではフリーアクセスフロアいわゆる二重床としても活用することができます。オフィスやマンション共用部で使用されているものは、施工や部分メンテナンスのし易さから、タイルカーペットが多くみられます。
しかし、タイルカーペットに限らずカーペットという床材は、細かな髪の毛や繊維状ゴミなどはパイルに絡みついてしまいます。汚れやゴミがパイルの中に入り込むので目立ちにくいというある意味「強み」がありますが、それだけに除去するのに手間がかかってしまうのです。特に建物や各階のフロアの入り口部分は人の往来が多く、靴底に付着した土砂によってカーペットに汚れを押し付けてしまいます。通路の中央部分も歩行導線に沿って汚れが蓄積されていきます。また飲食物のシミやガム等の粘着性固形物が付着してしまうと、時間の経過とともに除去しにくくなるだけでなく臭いや害虫の発生に繋がり衛生的にも好ましくありません。汚れが頑固になる前に定期的なクリーニングを行うことで、洗剤や時間をかけずに綺麗を維持することができます。
カーペットクリーニングの方法には様々な物があり、カーペットの種類や使用年数、作業人員数によって作業方法を検討する必要があります。数ある手法の中から今回はスチーム方式を挙げます。
スチーム方式は高温の蒸気を使用するため、汚れへの反応も良くダニやカビ等にも有効に作用します。特に衛生面に注意を払わなければならない病院や高齢者施設、保育施設などにお勧めです。カーペットは湿るととても滑りやすくなるだけでなく、短時間で完全に乾燥させることが困難です。歩行者の転倒という思わぬ危険もあります。しかしスチーム方式は洗浄後の残留水量が少ないため乾燥も早く、リスクが少ない利点もあります。デメリットを挙げるとするならば、機器が大型になり動作音がする点や熱に弱いカーペットには適さないなどがあります。
こちらの写真はスチーム洗浄機のノズル部分です。先端にはスチームの吹き出し口と汚水の吸い込み口があり、スチームを噴射した後直ちに汚水を吸い取る形状になっています。